清酒・黒松白鹿の醸造元である辰馬本家酒造㈱が設立した「白鹿記念酒造博物館」(明治の酒蔵 酒ミュージアム)。明治の酒づくりを紹介する「酒蔵館」と酒や西宮に関する文化の保存・発信を行う「記念館」で構成されています。
記念館では、この春、笹部さくらコレクション「HANAMI」を開催。花見を思わせる、まさに見頃の掛け軸や書画、酒器や茶器などが多数展示されます。
今年の花見は、ぜひ酒ミュージアムで!
明治・大正・昭和と生涯を通じて山桜や里桜などの保護、育成に尽力した笹部新太郎氏は、一方で桜が描かれた美術工芸品や書画、桜関連の書物などのコレクターでもありました。コレクション数は5,000点以上におよび、質・量ともに貴重なものばかりです。ただ、美術的趣味に興じたというよりも、日本古来の桜を復元する研究のための資料という意味合いが大きく、氏自身も「私の身も心もうちこんでいるのはどこまでも桜である」と述べています。
毎春開催される笹部さくらコレクションの今年のテーマは「HANAMI」。膨大なコレクションの中から、学芸員選りすぐりの名品の数々が展示されます。
平安貴族の優雅な宴から、江戸時代には一転して現代に通ずるにぎやかな庶民の春の風物詩となった花見。「楽しみ方は人それぞれ」と笹部氏は書き残していますが、ソメイヨシノよりも古代の山桜や里桜に心惹かれていた氏は、静かに愛でる方を好んだのかもしれません。「HANAMI」では、華やかな宴会の様がうかがえる錦絵をはじめ、丁寧に塗り重ねられ、花びら一枚一枚が立体的に見える掛け軸や、個性的な桜の花が描かれた古伊万里の徳利、嵐山のガラス絵、花見の風情を詠んだ詩句の作品などが展示され、花見にさまざまに思いをはせて楽しめる内容です。
また、笹部氏がそれらを購入した時のエピソードや思いなどを綴った書き付けも紹介されることから、その人柄もあわせて桜をめぐるストーリーとして一層趣深く鑑賞することができます。酒ミュージアムで、時代を超えた花見を満喫してみませんか。
「HANAMI」では、展示物をより楽しむことができるガイド付き「ミュージアムトーク」を開催します。また、今年から西宮市のさくら祭と連動したゼミナールも開催。今回は「桜の園 亦楽山荘と笹部新太郎」と題し、笹部氏が演習林をつくり、現在も桜の花が咲き誇る宝塚市・亦楽山荘での研究成果などをご紹介します。日本人ならではの桜への愛着が、さらに深まるかもしれません。
記念館の向かいにある明治の酒蔵を再現した酒蔵館では、当時の酒づくりを実際に試掘調査で発見された遺構等から酒づくりの工程を紹介し、酒造り道具や映像などで分かりやすく解説しています。お花見につきものの日本酒にも思いをはせ、「HANAMI」と合わせてお楽しみください。
[白鹿記念酒造博物館(明治の酒蔵 酒ミュージアム)]
◯記念館の催し |
春季特別展「HANAMI」 ●ミュージアムトーク(展示物を詳しく解説) ●笹部さくらゼミナール「桜の園 亦楽山荘と笹部新太郎」 ※ミュージアムトーク、笹部さくらゼミナール共に無料(但し、入館料は必要です)。事前予約も必要ありません。お気軽にご参加ください。 |
■営業時間 |
10:00〜17:00(入館は16:30まで) |
■休館日 |
火曜日(祝日の場合は翌日、連休の場合は連休明け休館) |
■入館料 |
酒蔵館記念館共通 |
■アクセス |
◯電車・バスをご利用の場合 |
■お問い合わせ |
公益財団法人 白鹿記念酒造博物館(明治の酒蔵 酒ミュージアム) |